
近年、私たちは大きな変化を感じています。それは、アパレル企業での勤務経験がない個人の方や、SNSで多くのファンを持つインフルエンサーの皆様からの「自分だけのオリジナルブランドを立ち上げたい」「商品のクオリティを劇的に引き上げたい」というお問い合わせが倍増していることです。
実際に辻洋装店では、アパレル業界未経験からスタートし、今や大人気ブランドとなった『magnolia collection(マグノリアコレクション)』の望月順子さんのように、個人の情熱から素晴らしい服作りを具現化されている成功例があります。
しかし、一般のエンドユーザーに近い皆様にとって、「縫製工場にお仕事を依頼する」というのは非常にハードルが高く、わからないことだらけの世界だと思います。そこで今回は、個人のお客様や小規模アパレルの皆様からよくいただく質問を8つのQ&A形式にまとめました。辻洋装店での服作りのリアル(費用・期間・仕組み・心構え)を、包み隠さずすべてオープンにします!
A1:はい、もちろん可能です!
ここ数年で、アパレル企業への勤務経験がない、エンドユーザーに近い方々からのお問い合わせが本当に増えています。
先ほどご紹介した『magnolia collection』の望月順子さんも、アパレル業界は未経験からのスタートでした。しかし、「自分が作りたい理想の服」のビジョンが明確だったため、今では素晴らしいブランドを築き上げられています。
経験の有無よりも大切なのは、「本当に良い服を作りたい」という強い情熱です。ただし、辻洋装店がお手伝いできるのは特定の分野に限られますので、縫製工場との「マッチング(相性)」が非常に重要になります。
A2:辻洋装店は、「布帛(ふはく=織物生地)」を使った「高級婦人服」の「重衣料(ジャケット・スカート・ワンピース・コート)」を専門とする縫製工場です。
私たちのメインの取引先様は、長年にわたり日本の皇室の方々が公式の場でお召しになるようなお洋服を手掛けられている『Jun Ashida(ジュンアシダ)』様です。クラシックで洗練された仕立てのジャケットやドレス、美しいシルエットのワンピースやコートが大得意です。
一方で、「作れない(不得意な)お洋服」も明確に存在します。
ニット(編み物):工場に編み機が1台もありませんので不可能です。
カットソー(Tシャツ、パーカー、スウェットなど):衿ぐりのテープやリブなどの縫製には特殊なバインダーやミシンが必要なため、専門のカットソー工場をお勧めしています。エレガントなシルクジャージーのワンピースなどは実績があります。
紳士服(メンズ):いわゆるメンズスーツは紳士服専門の仕立てが必要なため対応できません(※女性らしい柔らかさを残したメンズライクなジャケットなどの実績はあります)。
軽衣料(カジュアルなブラウスや肌着):特殊なデザイン・生地を除き、専門のブラウス工場の方が向いています。
A3:全く心配いりません。デザイン以外のすべての実務を辻洋装店が一括でサポートいたします。
辻洋装店のルーツは「注文服屋(オートクチュール)」です。そのため、お客様から「こういう雰囲気の服が作りたい」というスケッチや写真、イメージをお伺いし、それをプロのパタンナーが洋服の設計図である「パターン」に起こす作業から得意としています。
さらに、裏地や芯地、ファスナーやボタンといった副資材メーカーとも長年のパイプがあるため、最適な素材の選定をアドバイスし、辻洋装店が代理で購入することも容易です。パターン製作、サンプル縫製、量産、仕上げプレスまで、すべての機能を自社内に持っているため、あちこちの業者を手配する手間は不要です。お客様が必要とするのは「作りたい服の明確なイメージ」と「費用」と「強い気持ち」だけです。
A4:辻洋装店で高級婦人服を1型作ろうとした場合、最初の完璧なサンプルを完成させるまでに必要な初期費用は、おおよそ30万円〜60万円程度を見ておいてください。
この費用には、デザイン画やイメージから洋服の設計図を起こすパターン製作代をはじめ、別布で形を作ってシルエットを確認するトワルチェックや、実際に本番の生地を使ってファーストサンプルを縫い上げるための縫製代、そして表地や裏地、ボタンなどの生地・副資材にかかる実費などがすべて含まれています。
なぜ金額にこれだけ大きな幅があるかというと、お客様がご自身の理想のシルエットに納得するまでに、何度サンプルを作り直すかによって、その都度かかる費用が変わってくるからです。
洋服作りは一発勝負ではなく、お互いのイメージをすり合わせるために平均して3〜4回は修正を重ねて理想の1着に近づけていきます。こだわればこだわるほど時間と費用はかかりますが、それこそが妥協のない服作りの証でもあります。
A5:最初の1型目の場合、相談から完璧なサンプルが完成するまでに、最低でも3ヶ月以上の時間がかかります。
洋服作りは一発勝負ではありません。デザインの打ち合わせ、型紙の作成、仮縫い(トワル)でのシルエットチェック、修正、本番生地でのサンプル縫製、さらにそこからの微調整……というステップを丁寧に行うため、どうしても物理的な時間が必要です。
また、工場の繁忙期(コレクション時期など)と重なると、さらに時間をいただく場合もあります。そのため、「来月販売したいので、今から作ってください」というご要望は物理的にお受けできません。
お金だけでなく、じっくりと良いモノを育てるための「時間のゆとり」と「計画性」を心に持っていただく必要があります。

A6:はい、一般的な縫製工場より高いと感じられるかもしれません。ですが、出来上がった製品を見て袖を通していただければ、その理由は必ずお分かりいただける自信があります。
表からは見えない部分まで手間を惜しまず、凛とした佇まいと美しい着心地を生み出しています。
また、私たちはすべての工程を東京・中野のアトリエで行っており、「いつ・誰が・どう縫っているか」をご自身の目でいつでも見に来ていただける透明性(トレーサビリティ)も大切にしています。
ごまかしのない品質と職人たちの環境を守るための適正価格だと考えております。
A7:もちろんです。ご予算に合わせたコストダウンのご相談には乗らせていただきます。
例えば、デザインの仕様を少しシンプルにしたり、お任せいただく工程を工夫したりすることで、コストを抑えるご提案をすることは可能です。
しかし、現実的なお話をしますと、仕様の一部を変更したり、裏地やボタンなどの副資材のグレードを少し下げたりしたからといって、劇的に全体のコストが下がるわけではありません。
なぜなら、私たちがいただく費用の大部分は、熟練の職人が一針一針縫い上げるための「技術料」と「時間」だからです。 クオリティを維持しながら無駄を省く方法については一緒に知恵を絞りますが、単なる「値引き交渉」は、製品に込める手間や質を削ること(職人の技術を安売りすること)に直結してしまうため、結果としてお互いのためにならないと考えております。
A8:まずは作りたいお洋服のイメージ(手書きのスケッチ、写真、現物など)をご用意いただき、公式ウェブサイトのお問い合わせフォームからご連絡ください。
完璧なデザイン画は必要ありません。ご連絡いただいた後、東京・中野のアトリエへお越しいただき、ものづくりの現場を見学しながら直接お話を伺います。
ヒアリングを重ねてお洋服のイメージ・予算・納期などを確認しつつ、お互いの想いやタイミングが合えば、いよいよあなただけの服作りがスタートします。
全8問のQ&A、いかがでしたでしょうか。
かなり赤裸々にお金や時間の現実をお話ししたので、「やっぱり大変そうだな……」と思われた方もいるかもしれません。しかし、私たちは出来るだけお互いに嘘偽りのない信頼関係を築きたいからこそ、このリアルをオープンにしています。
一般的なアパレルメーカーのように、安い海外の工場を探し、商社やブローカーを何社も挟んで、伝言ゲームのように意思が擦り切れていく服作りとは正反対の世界がここにあります。辻洋装店での服作りに登場するのは、「あなた」と「辻洋装店の社員」だけです。中抜きも無駄なズレもありません。
「本当に納得のいく服を作ってみたい」
もしそう思われたなら、ぜひ私たちの技術を頼ってください。辻洋装店がチーム一丸となって、あなたの理想を形にするお手伝いをさせていただきます。
あなたと一緒に、素敵なモノづくりができる日を心よりお待ちしております!
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