東京中野の縫製工場「辻洋装店」| 【費用は?】個人が縫製工場で洋服を作るには・・・④

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BLOG 2026.05.19

【費用は?】個人が縫製工場で洋服を作るには・・・④


さて、全4回にわたってお送りしてきたこのシリーズも、いよいよ最終回です。

では「覚悟とマインド」、では「Magnolia collectionさんの成功例」、では「受注生産という仕組み」についてお話ししてきました。

ここまで読んでくださった方は、きっとこう思っているはずです。

「仕組みや心構えはよーく分かった。で、タイトルにある『費用』って、結局のところ最初にいくら用意すればいいの!?」

お待たせいたしました。

今回は、個人が辻洋装店で洋服作りをスタートさせるために、最低限必要な「最初の持ち出し(初期費用)」と「期間」のリアルな現実について、ズバリお答えします。

受注生産でも、最初だけは「自己資金」が必要です

前回、のブログで「Magnolia collectionさんは完全受注生産にしている」とお話ししました。

お客様から先にお金をいただいてから量産(本縫い)に入るため、在庫リスクがなく、キャッシュフローが劇的に良いのが受注生産の最大のメリットです。

「じゃあ、手元に資金がなくても始められるのね!」

……と思った方。ごめんなさい、それは無理なんです(^^;

いくら受注生産とはいえ、お客様に「こんな服を作りますよ」とお披露目するための「完璧なサンプル(見本品)」がなければ、注文の取りようがありませんよね。

つまり、ブランドを立ち上げて最初の1型を世に出すためには、注文が入る前の段階、つまり「スタートラインに立つまで」にどうしても必要な費用(持ち出し)があるのです。

最初に必要となる費用の内訳

では、その初期費用には一体何が含まれているのでしょうか。

洋服作りの工程に沿って分解すると、大きく以下の3つになります。

​1. パターン(型紙)製作代

デザイン画や写真、あるいは「こういう服が作りたい」というお話から、実際の服にするための設計図(パターン)を起こす費用です。
ここで大切なのは、最初から量産用の型紙を作るわけではないということ。まずは理想の形を具現化するための「ファーストパターン」を引くことから始まります。
これを修正して基準となる「マスターパターン」を完成させ、最終的に量産化のための「工業用パターン」へと落とし込んでいきます。
プロのパタンナーがこのステップを丁寧に踏んでゼロから引くわけですから、それなりの技術料をいただきます。

​2. サンプル縫製代(トワルチェック含む)

ファーストパターンができたら、まずはシーチングという別布で立体化してシルエットを確認します(トワルチェック)。
そこで細かな修正を加え、いよいよ本番の生地を使って「ファーストサンプル」を縫い上げます。
量産(何十着も同時に縫う)とは違い、丸縫いの出来る熟練職人が付きっきりで1着だけを仕立てるため、加工賃としてはこれが一番高くなります。

​3. サンプル用の生地・副資材代

サンプルを作るための表生地、裏地、芯地、ボタン、ファスナーなどの実費です。辻洋装店が代理購入することも可能です。

初期費用は「納得いくまで何回サンプルを作るか」で激変する

お洋服のデザイン(ジャケットなのか、シンプルなワンピースなのか)や、選ぶ生地のランクによって金額は前後しますが、辻洋装店で「高級婦人服」を1型作ろうとした場合、最初のサンプルを完成させるまでに必要な初期費用は、おおよそ30万円〜60万円ほど見ておいてください。

「ずいぶん幅があるな」と思われたかもしれません。

実は、初期費用がいくらになるかは、**「あなたが納得するまでに、サンプルを何回作り直すか」**によって大きく変わるからなのです。

洋服作りは一発勝負ではありません。特に最初の1型目は、お互いのイメージをすり合わせるため、平均して3〜4回はサンプルを作り直してブラッシュアップを重ねていきます。

当然、回数を重ねるごとにパターン修正代やサンプル縫製代が加算されていきます。

過去には、デザイナーさんの「絶対に妥協したくない!」という熱いこだわりに応え、実に9回もサンプルを作り直した前例もあります。

また、時期(工場の繁忙期など)にもよりますが、この試行錯誤を繰り返して「完璧な1着」が完成するまでには、最初は特に3ヶ月以上の時間がかかります。

「来月売りたい!」は物理的に不可能なのです。お金だけでなく、じっくり育てる「時間」のゆとりも必要になります。

この費用を「高い」と見るか、「安い」と見るか

ここで、でお話ししたマインドの話に戻ります。

1型を世に出すための初期費用と、3ヶ月以上の時間。

これを「高すぎる、もっと安く早く作れる工場を探そう」と考えるか。

それとも「自分の情熱を形にするための投資」として納得できるか。

もし、あなたが一般的なアパレルメーカーと同じように「先に100着量産して、在庫を抱えてから売る」というビジネスモデルを選んだらどうでしょう。

安い工場に頼んで1着のコストを抑えたとしても、100着分の量産費用と生地代で、最初に100万円、200万円という大金が吹っ飛んでいきます。

しかも、それが売れ残ってすべて赤字(在庫の山)になってしまう、かもしれません。

それと比べ、辻洋装店に依頼して「受注生産」を行う場合、最初のサンプル制作費さえ用意すれば、あとはSNSや試着会で注文を取った分だけを作ればいい。

在庫リスクは「ゼロ」です。

プロパー消化率100%のビジネスを始められる切符が手に入ると考えたら……どうでしょうか。

本気の趣味として、車を1台買ったり、海外旅行に何度も行ったりすることを考えれば、「自分だけの最高級アパレルブランドのオーナーになる費用」としては、実はものすごく格安だとは思いませんか?

必要なのは、あなたの「情熱とお金」だけ

4回にわたって、個人の方が縫製工場で洋服を作るためのリアルな現実をお話ししてきました。

辻洋装店がお手伝いできるのは、限られた分野だけです。値段も安くありませんし、時間もかかります。

でも、お互いの相性がピッタリ合って、あなたの「イイ服を作りたい!」という熱量が本物であれば、私たちはパタンナーも、サンプル職人も、プレス職人も、すべての技術を総動員して、あなたの右腕になります。

伝言ゲームのような無駄な中抜きも、意思のズレもありません。登場人物は、あなたと、辻洋装店だけ。

だからこそ、最初に言ったこの言葉に尽きるのです。

「必要なのは、あなたの『イイ服を作りたい』という情熱とお金だけなんです!」

お金と時間の話をこれだけ赤裸々にするのは、お互いが疑心暗鬼にならず、最初から信頼関係を作って「三方善し」のモノづくりをしたいから。

このブログを読んで、「よし、覚悟はできた。時間も費用もかけて、私の理想の1着を、辻洋装店と一緒に作りたい!」と思ってくださった方。

まずは、あなたの熱い想い(と、ちょっとしたスケッチや写真)を持って、辻洋装店の門を叩いてみてください。私たちは、本気でバッターボックスに立つあなたを、全力で打たせる準備をして待っています。

長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました!

 

【費用は?】個人が縫製工場で洋服を作るには・・・    

東京都内の高級婦人服縫製工場三兄弟の三番目
ツジゴウ


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