11月21日(月)の繊研新聞の記事にちょびっと取りあげていただきました(^^)
『叫び 国内縫製業の現場から』という連載記事の⑤回目、最終回です。
小豆島のタカラさんは業界ではずーっと前から有名な会社です。
<以下全文>
逆風が強まる中、知恵を絞り、工夫を凝らす工場も目立つ。
独自の手法で縫製技術を高め、人を育てる努力を惜しまない。
国内高級プレタを扱う辻洋装店(東京、辻庸介社長)。
特徴は可視化にある。
例えば、縫製グループと個人、それぞれの出来高を書いた紙を社内に貼り、全員が見られる。
「名前を出すのは酷ではないかという意見や反発もあった」(辻吉樹専務取締役)が、
今では効率を知る大事な役割として浸透している。
縫製の出来高は1日、一週間、一ヶ月、半年、一年という形で、
短期、長期の両方が分かるのがポイントだ。
短期で見れば効率が悪くても、長期では効率が上がっているケースもある。
また、受注工賃が工程分析工賃に対して合わない場合もあるため、工程分析指標でもチェックする。
受注工賃が低くても、工程分析工賃をクリアしている場合は評価をする仕組み。
パターンの概念、工程はタブレットで保存し、誰でも見られる。
概念を理解しているか否かで縫製方法やアイロンのかけ方が微妙に変わり、
商品の仕上がりに大きく影響するためだ。
リーマンショック前後、受注減や低工賃から赤字決算もあった。
しかし、工夫を凝らした結果が徐々に出て、苦しい環境ながらも黒字を確保している。
香川県・小豆島に縫製工場を持つタカラ(岡山市、米倉将斗社長)の強みは人材育成。
北は北海道、南は沖縄からも受験に来て、毎年新卒で約10〜20人を採用する。
入社後は小豆島の職業訓練校、タカラモードカレッジの0JT(現場教育)で洋裁を学ぶ。
寮も完備している。
キャリアプログラムが明確で、1年時に丸縫いに必要な技術の習得を目指し、
2年次に主工程のパーツ縫い、中間アイロンの技術を身につける。
訓練後の3年で二級技能士を受験し90%近くが合格している。
5年を目安に一級技能士に受かり、その後指導員免許を取る人もいる。
夏と冬の年二回、ファッションショーも行う。
若手社員が自分たちでデザインして服を作り、演出まで行う。
ここに学生を招待し、雰囲気を味わってもらう。
社員のモチベーションを上げ、学生に夢を与える場だ。
技術の蓄積には人材育成が伴う。
生産するのはデザイナーブランド、高級プレタポルテであり、
布帛、カットソーともに難易度の高い商品に対応する。
「うちのコアコンピタンスは何か。うちにしか出来ない“顔”の服作りをしていきたい」
(米倉将斗社長)と力を込める。
「洋服作りは人作りの道」「物作りは、人作り」。
これは二社に共通する考え方だ。
縫製業を通じ、豊かな人間性を磨くことが目的で、ゴールはない。
ぶれない理念は経営者の“正しい努力”とともに、社員の共感を生み、良い人材と高い技術を育む。
今一度、縫製工場は立ち止まり、社会的役割と存在意義を自らに問いかける必要がある。
中野ケンシロウ
東京都内の婦人服プレタポルテ縫製工場でいつまでたっても修行中!
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