【費用は？】個人が縫製工場で洋服を作るには・・・①

ここ数年で、個人の方からのお問い合わせが倍増しております。
それもアパレル企業への勤務経験のない、どちらかというとエンドユーザーに近い方々です。

「アパレルブランドを立ち上げたい」「既にスタートしているけど商品のグレードを上げたい」といった方が多いでしょうか。

とりあえず辻洋装店に来ていただいて、お話を伺って、アパレル業界のことをお話しして、アトリエを見学していただいて、、、、。でも実際にお仕事がスタートするのは、ごく僅かです。

magnolia collection

というのも、辻洋装店がお手伝いできるのは「布帛」の「高級婦人服」の「ジャケット/スカート/ワンピース/コート」という限られた分野だけなのです。

縫製工場の棲み分け、マッチングに関してはこちら　→　過去 blog①

逆にいうと相性が良ければかなりのアドバンテージになります。

ワンストップ

辻洋装店は高級婦人服（紳士らしさを求めないなら紳士も）専門の縫製工場です。常に高級品（工業用パターンが必須）を扱っていますし、ルーツは注文服屋なのでデザイン画からのパターン制作も得意としています。お洋服の専門的な仕様に関してはお客様からヒアリングしながら（時にはサンプルで試しながら）決めていくことが出来ます。副資材メーカーとのパイプもあるので裏地や芯地、ファスナーやボタンの選定にも助言できますし、代理購入も容易です。辻洋装店では最終仕上げプレスまで自社内で行なっているので、商品は最後まで辻洋装店が責任を持って納品できますし、お支払いは生地の仕入れも含めて辻洋装店へ一括でお支払いいただけます。

「イイ服を作りたい」という想いを実際のお洋服で具現化するためには登場人物は少ない方がいいです。お洋服が完成するまでに伝言ゲームのように少しづつ意図しない方向に変わってしまうこともありますし、想いもだんだん弱くなっていきます。

辻洋装店でお洋服を作れば、パタンナーもサンプル工場もプレス屋も生産管理も振り屋も商社もすべて不要です。

必要なのは、あなたの「イイ服を作りたい」という情熱とお金だけなんです！

なんか変な広告みたいになってきました(^^;

magnolia collection

良いモノは良い値段

「良いモノを少しでも安く作りたい」というマインドでは、良いモノはできません。「良いモノには適切なコストがかかる」ということを正しく理解してキチンとお支払いしましょう。きっとお客様（エンドユーザー）にも伝わります。

「安く仕入れて高く売る」のは商売の基本！？ではあるのですが、2024年現在の日本の縫製工場に対して値引きを求めるのは違うと思います。値段で折り合わずにあちこち彷徨っている人は、ずっと値段で苦労しています。また、出来上がった商品も苦労したカオになります（どうにもならずに別のプレス屋さんで直してもらっても不良品となり、エンドユーザーからのクレーム対応に追われた、なんてことも）。

辻洋装店の値段は業界平均よりずっと高いです（私は格安だと思っています）。商品のクォリティーを維持するために必要な手間を掛けているからです。そして未来のために新卒採用を続け、人財育成と技術の継承に力を入れています。当然、技術者の賃金も継続して増やします。外国人技能実習生問題、技術者の高齢化、慢性的な低賃金といった先の見えないこの業界の過去とはオサラバしたいのです。

「高すぎですよ」「他工場では〇〇円ですよ」「もう少しなんとかなりませんか」「前回は〇〇円だったのに」
こんなことを口にするアパレルメーカーもだいぶ減ってきましたが、辻洋装店のような規模の会社だと、加工賃に関するこんなやりとりがアトリエで縫っている技術者に伝わることもあり、そうなると商品に対する“気”の入れ方に違いがでるように感じます。もちろん、いただいたお仕事には常に全力ですが、“自分たちの技術力を値切られた”と知れば気が滅入ります。人間ですので。

私は、縫製工場の見積り通りの“言い値”でお支払いすることをお勧めします。結果的にそれが“三方善し”な気がします。「ふっかけられそう」「騙されてるかも」と感じるようならその工場はやめておきましょう。疑心暗鬼な関係のままで、良いモノは生まれそうにありません。

次回は成功例をご紹介したいと思います。

東京都内の高級婦人服縫製工場三兄弟の三番目
ツジゴウ