ここまでのサンプルで問題ない場合、次に先上げサンプル(量産の生地を1着だけで裁断して縫製したもの・先行して作る量産の1着)を同様の手順で製作し、問題がなければ量産に入ります。
サンプルを製作せず、先上げサンプルからスタートするお客様もありますが、お互いの信頼関係とパターンの完成度がそれなりに高くないと困難です。
量産が進行すると、辻洋装店では“班サンプル”(先上げサンプルとは別の量産裁断の中の1着)と呼んでいるサンプルを独自にグループリーダーが作成します。サンプル製作時に吸い上げたデータを量産のパターンや裁断等に反映させてある為、サンプル時より改善されているはずです。しかしサンプルや先上げサンプル担当者と量産担当者が違うという事や、サンプル反(サンプルの生地)と量産反(量産の生地)では生地の雰囲気(色・柄・風合いなど)が違うケースが多々ある為、思い通りにいかないこともあります。
ここまでしてサンプルを重ねて作るのは全て量産のクォリティーを高める為です。一般的にサンプル(デザイナー、パターンナー、バイヤーが手に取るもの)をキレイに作るのは比較的容易なのですが、量産(お客様=エンドユーザーが手に取るもの)のクオリティーを高いレベルで維持するのは至難の業です。というのも、“サンプル”というのは熟練の技術者一人が丸縫いしますが、量産では様々なキャリアの技術者(複数人)の手で製作される為、統率するのが容易ではないからです。
以前、エンドユーザーさんから聞いた事があります。
・展示会、広告、インターネットなどの媒体を見て気に入って発注したのに、実際に手元に来た製品がそれら媒体のビジュアルとあまりにも違って本当にがっかりした。
・サンプルと量産(現物=実際の商品)が違いすぎる!
・デザインは同じだけど、とても同じには見えない、雰囲気がない、なんか違う・・・・。
考えてみれば当然です。量産はモデルサイズではないし、サンプルとは作り方も異なります。そもそも作っている工場が違う可能性もあるのです(サンプル工場と量産工場では作り方や考え方が全く違います)。油断するとサンプルばかりに気を取られて、本来最も大切にしなくてはならない“お客様が手に取る製品”に力が入っていない、なんていうことも・・・。同じ1着なのにサンプル(1着/1着)より量産(1着/100着)の方が気持ちが薄くなってしまうのでしょうか?
お客様にとっての大切な1着、それは量産品です。サンプルは量産の質を高める為のものなのです。
展示会場のサンプル商品やカタログ画像などと同じ雰囲気の商品が、お客様(エンドユーザー)の手元に届きにくいのはこのような理由からなのです。
辻洋装店では、最終的にお客様(エンドユーザー)が手にする製品の魅力こそがお取引先様(ご依頼主様、アパレルメーカー、セレクトショップ)の繁栄に直結することを踏まえ、量産クォリティーを最も重要視し力を注いでいます。
工業用パターン作成→裁断→縫製と、順次工程を経てスケジュール通り生産されてくると、まとめ工程・最終仕上げプレス工程を経て納品の準備にかかります。
仕上げプレスを自社にこだわるのは工業用パターンから最終製品まで責任をもって製品に取り組む為です。仕上げプレスはプレタ特有のくせ取りを施されたシルエットの保持と表面仕上げ(雰囲気の作成)です。丸い所は丸く、シャープさが必要なところはシャープにそれぞれの箇所を際立たせて立体的にブランド毎のデザインを表現します。ここで縫製の完成度の低い商品をいくらアイロンでこねくり回しても雰囲気の良い商品は出来ません。
立体的に仕上げた後モデリストが最終確認をします。量産進行後半には納品前検品(納前)として数着検品をして頂き、問題なければお約束の期日にご指定場所へ納品いたします。
辻洋装店ではほとんどがハンガー納品(ハンガーにかけた状態での納品)で、運送便または自社便にてお届けしております。
次回はやっと【費用】が出てきそうです。
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